環境変化に耐える開発体制とは

人手不足が言われています。
解消のために、生産性を上げようということで、最新技術の導入などが検討されています。

こうした中、研究開発の現場はどうでしょうか。
自動車部品メーカーのデンソーでは、ソフト人材がまったく足りない、という記事がありました。

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01627/?ST=nxt_techcareer

生産性の向上だけでは、対応できないケースもありそうです。
AIなどの進展により、急速に変化する外部環境に、企業の対応が追いつかないという事態が起こっています。

そこで今回、参考として、競合する化学メーカーを例に、研究開発のリソース配分について考えてみました。
世界1位の外資系L社と、国内メーカーS社の人材配置を比較してみます。

データの準備

2社の最新の開発情報を、それぞれ500件ずつ取得して分析しました。開発情報の入手は、以下の記事を参考にしてください。

開発者のポジションを可視化

各開発者が、どのテーマに何回関わったかをカウントし、開発者のポジションを数値化します。つまり、縦軸に開発者名、横軸にテーマを配置したマトリクスを用意します。これをもとに、オープンソースの分析ツールKNIMEを使って、クラスター分析をします。今回は、2社のデータを統合して後、クラスター数を16に指定して実行しました。

クラスター分析については、以下の記事を参考にしてください。

2社の差分を確認

それでは2社の差分を見てみましょう。この図は、2社の開発者一人ひとりを3次元のポジションであらわしたものです。大きいプロットが国内S社の開発者、小さいプロットが外資系L社の開発者です。

開発テーマが似ているほど、近くにあると考えてください。色の違いは、クラスター分析の結果をあらわしています。同じクラスター(同一色)に2社がある場合、開発者の一部はテーマが重なっていることを示しています。

ここで、Row400というクラスターに着目しますと、ほぼ外資系L社の開発者だけのクラスターになっています。言い換えれば、国内S社で着手していないテーマに、これだけ多くの開発者を配置している、ということです。

同様のクラスターは複数見られます。それぞれの内容を確認し、この配置が意図したものなのか、手薄になっているのか、まったく視界になかった分野なのか、確認することができます。

このように、差や遅れが顕在化してからでは、キャッチアップするのは容易ではありません。自社の開発体制が、外部環境の変化に対応できるのか、客観的な視点でチェックする仕組みが必要かもしれません。

今回の分析では、情報分析ツール「Quark Apps」を使って、データの前処理をしています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせ