データをもとに企業買収を考える

高速データ通信、5Gへの移行が本格化してきています。
そこで、関連する半導体である窒化ガリウム(GaN)の領域で、どのような企業の組み合わせが可能か、データをもとに考えてみます。今回は、情報ソースを2016年以前のものに限定し、現在の情報と照らし合わせて、結果の妥当性まで検証します。

ソースは公開情報のみ

企業情報を得るために、今回はEspacenetを使います。
Espacenetは、欧州特許庁及び欧州特許条約加盟国の特許庁が提供する、無料のオンライン・サービスです。
検索式を入れて、出てきた結果を500件単位でダウンロードできます。

開発者の人数をカウント

ダウンロードしたデータをもとに、以下のようなマトリクスをつくります。
これは、ある企業が、どのテーマに、何人の開発者を配置しているか(リソース配分)を表しています。

各社のリソース配分を分析

今回取得したデータには、約650社の関連企業が含まれていました。各社のリソース配分を分析して、類似するパターンを持つ企業をクラスターにまとめる処理をします。今回は、オープンソースの分析ツールKNIMEを使います。KNIMEで、クラスター分析のワークフローを作成し、上記データを取り込んでいきます。

隣接クラスターに着目

クラスター数を8にして処理した結果です。テーマ数は約100テーマ(100次元)ありますが、可視化のため3次元に落としています。(このあたり、詳細はまた別の機会に)
さて、各クラスターを見ていきます。1つのドットは1つの企業を表しています。色の違いはクラスターの違いです。同一クラスターには、リソース配分が類似している企業が含まれています。逆に、距離が離れているほど、異なるテーマにリソースを配置しているということです。

ここで、クラスター1、2から、1社ずつあげてみます。クラスター1にCree Inc.、クラスター2にはInfineon Technologiesがあります。クラスターは違うものの、クラスターどうしは隣接しています。つまり、一部のテーマは同じだが、違うテーマにも着手しているということです。

では、直近のGaN関連ニュースのうち、提携や買収に関するものを検索してみましょう。
すると、18年春の上記2社に関する買収の記事が見つかりました。

このニュースの2年前のデータソースを使って、上記2社の相性を定量的に割り出したかたちとなっています。
このように、企業のリソース配分を分析し、隣接するクラスターを詳しく見ていくことで、相性のよい企業、提携やM&Aの切り口を発見できるかもしれません。

今回の分析では、情報分析ツール「Quark Apps」と外部ツールKNIMEを連携しています。実際には、Quark Appsのバックグランドで処理されますので、お客様がKNIMEを意識することはありません。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせ