化学メーカーにとって医療分野は魅力的か?

例えば、日本の材料・化学メーカーにとって、医療分野は魅力的なのでしょうか?

「高付加価値だが規模が小さい」といった否定的な意見があるものの、今後高い成長が期待される領域もあります。将来を見据え、効果的なやり方で楔を打っておくことは、成長を維持するための有効な一手だと考えます。そこで今回は、再生医療について探ってみたいと思います。

医療分野の情報を無料で入手する

今回はPubMedを使います。
PubMedは生命科学や生物医学に関する無料の検索エンジンで、 アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館(NLM)が運用しているということです。

これは、ある文献の書誌情報ですが、PubMedの優れた点として、MeSH(医学用語の見出し)があげられます。書誌情報の下の方のMeSH termsを開くと、この文献にいくつかのMeSHが割り当てられていることが分かります。

MeSHのうちの一つを選択し、メニュー内のSearch in MeSHをクリックしてください。

するとMeSHに関する詳細を見ることができます。MeSHは階層構造を持っていて、選択したMeSHがどのような位置付けかを知ることができます。これはつまり、その文献がどのような技術に関するものなのかを、ざっくりと把握できるということです。(仮に、分析者が医療についてド素人だとしても・・)

技術マーケティングに利用する

MeSHは、もともと検索を容易にするための見出しですが、この見出しを取り出して集計することによって、トレンドなどを把握することができます。

これは、再生医療に関する2万件弱の情報から、MeSHを取り出して集計したものです。例えば、ざっくりと2007,2008年を境に、Cell Transplantation(細胞移植)からRegenerative Medicine(再生医療)へとトレンドが動いたように見えます。専門的な目で細かく見ていけば、更に多くのトレンドが見つかるかもしれません。

中国の存在感

この2万件弱の情報を、別の切り口から見てましょう。これは、研究者の情報を取り出してつながりを可視化したものです。グループ分けしてみると、たいへん多くの小規模な研究グループがある一方で、比較的大きな研究グループもいくつか存在します。例えば、左上の最も大きなグループは、中国の細胞シートの研究グループのようです。3番目に大きなグループは、日本の細胞シートの研究グループのようです。

日本の研究グループを拡大してみるど、東京女子医大の岡野教授を中心とした研究グループだと分かります。

もう一度全体図に戻ってみます。丸の大きさは他者とのつながりの多さを示しています。中国の研究グループには、あまり大きな丸がありません。これは、この分野の中心人物がまだ確定していないからかもしれません。しかしながら、研究者の規模は大きく、その存在感は無視できません。

このような研究グループへアプローチするにはどうしたらよいか?各国研究グループへのハブとなりそうな人物が確認できます。(同姓同名の可能性もあるので、詳しく見る必要はありますが)例えばこうした人物を足がかりに、主要グループへマーケティングしていく方法も考えられます。医療分野における、オープンイノベーションの具体的な方法の一つとして、検討されてはいかがでしょうか。

今回の分析は、情報の取得、集計、つながり可視化まですべて、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ