オープンイノベーション「ごっこ」から脱却する方法

オープンイノベーションの重要性が言われてから10年近くが経過しました。あなたの会社では、成功事例がありましたでしょうか。オープンイノベーション「ごっこ」と揶揄される中、この手法に疑問をお持ちの経営層の方、担当者もおられるのではないでしょうか。そこで今回は、オープンイノベーション「ごっこ」から脱却する方法について考えてみたいと思います。

オープンイノベーション「ごっこ」から脱却する方法

オープンイノベーションの前に、しなければならないことがあります。それは、自社にとって何が足りないかを知る必要がある、ということです。

例えば、カレーをつくるとき、ルーと玉ねぎとジャガイモがあるなら、足りないのは肉ですね。スーパーへ行ってみて、売り場の状況で、ビーフにするか、鶏肉にするか、魚介にするかを選択するのはよいと思います。でも、何が足りないかが分からない状態でスーパーへ行っても、よい買い物ができるでしょうか。

こうしてオープンイノベーションごっこに陥るわけですが、これは自社にとって何が足りないかが、分からない状態ではじめてしまうからだと思います。

では、何が足りないかをどうやって知るかですが、これは、目指すべき状態と現状との差分(ギャップ)を明らかにするということです。つまり、目指すべき状態(上の例ではカレー)が分からなければ、何が必要かも分からないということになります。目指すべき状態を実現するために、1つのツールとしてオープンイノベーションを使う、ということです。

大手企業は「ごっこ」に気付いている

既に大手企業は、オープンイノベーションごっこに気付いているかもしれません。下図は、スキンケア分野における、企業連携図です。2010年~2018年までの情報を、3年毎に区切って3枚の図にしています。データ処理については、過去の記事を参照して下さい。

ここで、2010年~2012年では、花王、資生堂、コーセー、ファンケルなど、化粧品大手が中心となって他社と連携していることが分かります。2013年~2015年においては、メナードやロレアルが確認できます。しかしながら、直近の2016年~2018年では、国の研究機関や大学が中心になって、大手の連携が目立たなくなっています。

あくまで、データから見た仮説ですが、花王や資生堂などの大手は、2010年早々に「ごっこ」に気付いて手を引いたか、多様性を求めてスキンケアの外へ出たのかもしれません。少なくともこの分野においては、大手は継続して他社と連携していないことは事実のようです。

スキンケア分野における企業連携(2010年~2012年)
スキンケア分野における企業連携(2013年~2015年)
スキンケア分野における企業連携(2016年~2018年)

あなたの会社はどこを目指すのか

オープンイノベーションはあくまでツールです。問題は、あなたの会社がどこを目指すのか?ということです。自社の目指すべき状態について、少なくともオープンイノベーションの関係者は、共通認識を持っているべきです。それは、自社を取り巻く外部環境が、今後どう推移するかについての共通認識です。

どのような未来が来たとき、どのような能力・技術が必要になるのかを明らかにして下さい。未来は不確実ですので、複数のシナリオがあるかもしれません。それぞれのシナリオで、「ギャップ」を明らかにして戦略を立てます。オープンイノベーションの前に、こうしたプロセスが抜け落ちてはいないでしょうか。

今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ