直近のTSMCの開発、守りと攻めの両面体制

定期的に、特定企業の開発動向についてお伝えしています。対象企業の直近の技術文献から、開発者名を抽出し、人物ネットワークを出力して分析します。人物ネットワークは、分析機能付きデータとして、期間限定で無料提供しますので、この記事下のボタンからリクエストして下さい。今回、第三弾はTSMCです。

全体像

こちらが全体像です。ネットワーク図の原理については、過去の記事をご参照下さい。1つのドットは一人の開発者、ドットの大きさはつながりの数、矢印の視点は開発リーダー、矢印の終点は管理者、矢印の太さは関係の深さ、とお考え下さい。

つながりの密度を計算し、いくつかのクラスタに分けています。概ね、開発グループと考えてよいと思います。グループ名は、機械的に出力しているため、必ずしも適切ではない場合がありますがご容赦下さい。

また今回のTSMCは、これまでのトヨタやデンソーと違って、グループ間の繋がりが多様でした。これは、グループ同士の連携が深いためか、開発者の異動が頻繁なためか、内部事情はわかりませんが、見やすくするために、グループレイアウトをフォースレイアウトに調整しています。

こちらは文献タイトルのキーワード分析です。
構造、メモリ、パッケージが目立っています。メモリを伴ったパッケージ構造が主要な開発テーマのようです。

それでは、規模の大きいグループをチェックしていきましょう。

グループ詳細

最大規模であるグループ1、2は、CHEN-HUAYU氏やHARRY-HAK-LAYCHUANG氏がキーパーソンである、パッケージ構造やその製造方法に関するグループです。

例えばこれは、CHEN-HUAYU氏の技術ですが、複数のチップが再配線層の表裏に配置されています。

次にグループ3ですが、SAI-HOOIYEONG氏がキーパーソンである、新デバイスに関するグループです。

例えばこれは、配線工程を含めた強誘電体メモリに関する技術です。

またこれは、エアギャップを伴ったフィン型トランジスタの構造と製造方法に関する技術です。

まとめ

このように、直近の開発体制から見えるTSMCは、トレンドである3次元構造をメインにしつつも、強誘電体メモリやトランジスタの新構造など、新デバイスについても同規模の開発体制で取り組んでいるように見えます。

今回の分析は、弊社製品Quark Appsを使っています。Quark Appsは、クローラー、RPA、テキスト分析、つながり解析、機械学習など、社内外のデータ活用に必要な機能がパックになっています。使い慣れたExcelから操作でき、クラウドを使わないため情報漏えいの心配もありません。全国からのお問い合わせをお待ちしております。