最近では、カナダのNorth社が開発した眼鏡風のスマートグラス「Focals」や、ファーウェイがファッションブランドのジェントルモンスターと共同開発したスマートグラスなど、実使用に耐えそうなデバイスが出てきました。スマートグラス市場、いよいよ離陸するのでしょうか?
今回は、前回につづき、スマートグラスを例にその未来について考えてみたいと思います。
不確実性に焦点をあてる
前回、出荷予測に基づいて事業計画を立てるのは、キケンだというお話をしました。とくに、これから立ち上がるような市場では、調査会社によっては一桁以上も違う予測が立てられるからです。だからといって、何の情報もなしに意思決定をすることはさらにキケンです。ではどうすればよいか。「不確実性に焦点をあてる」ということです。
スマートグラス市場を取り巻く不確実性のうち、最も自社の事業にインパクトを与えそうなファクターは何でしょう? 例えばあたなが、スマートグラスに転用できそうな要素技術を持っていたとしましょう。今後の市場を見極めて、どのような開発投資をするかを意思決定しなければいけません。
まず第一の不確実性として、「技術開発の達成度」をあげてみます。スマートグラスを構成するソフトウェアやハードウェアが、今後期待どおりに発展するか、あるいは停滞してしまうか。例えば、スマートグラスの大きな課題として、筐体サイズと視野角のトレードオフがあります。今後このようなトレードオフが解消へ向かうか、依然として課題であり続けるかは、スマートグラス市場を大きく左右しそうです。
第二の不確実性として、「社会の態度」をあげてみます。Google Glass失速の原因は、プライバシーや人に与える違和感などが言われています。定かではありませんが、確かなことは、一般の消費者には受け入れられなかったということです。今後、社会の態度として、このようなデバイスに肯定的であるか、否定的かは、やはりこの市場を大きく左右します。
未来を複眼的に捉える
市場予測のばらつきから分かるように、未来を予測することはできません。では、未来をどのように捉えれば、よりよい意思決定ができるでしょうか。それは、未来は不確実であると認め、同様に確からしい複数のシナリオがあるとして、複眼的に捉えるということです。
これがシナリオプランニングの基本的な考え方ですが、上のスマートグラスを例に取ってみると、第一の不確実性である「技術開発の達成度」と、第二の不確実性である「社会の態度」を、それぞれ軸にとって、2軸4象限、つまり4つのシナリオで捉えるということです。
ここで重要なのは、第一の不確実性と第二の不確実性は、互いに独立していなければいけません。これらが相関していると、シナリオは1方向にしか動きませんので、市場予測と何ら変わらなくなってしまいます。
こうして考えたスマートグラスの未来シナリオとは? 続きは次回。
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