次世代のものづくり、その競争軸とは?

世界最高峰のデザイン賞「iF DSIGN AWARD」。3月16日〜4月14日の間、ドイツ・ハンブルグにてiFデザイン展が開催され、受賞作品の展示が行われます。

https://ifworlddesignguide.com/our-awards/other-topics/exhibitions

性能面での差別化が難しくなった現在、デザインは、私たちが製品を選ぶ際の基軸になってきています。そこで、過去にiF DSIGN AWARDにエントリーされた、私たちの身近な生活製品(水まわり)について、情報分析を使って洞察してみたいと思います。

特定サイトから情報を得る

いろいろなやり方がありますが、手っ取り早いのは、Googleの検索結果を使う方法です。分析の目的が研究目的なら話は別ですが、そうでないなら、スピード感をもってやる必要があるでしょう。Googleを利用しない手はないと思います。

Googleには、様々な検索オプションが用意されています。ここでは、特定サイトから情報を得ることが目的なので、サイトを限定するオプション「site:(ドメイン名)」を使います。今回は、iF DSIGN AWARDのサイトから、水回り製品のデータを検索します。例えば、次ように入力します。

(toilet OR kitchen OR bath) site:ifworlddesignguide.com/entry

以下が検索結果ですが、iF DSIGN AWARDエントリーされた製品名とその概要等の情報がリストされます。これをExcel等に取り込んで、次の処理へ渡します。(全約300件)


英語の自然文を処理する

今回は全て英文なので、英語のテキスト分析を行います。今回は、Hunposを使っています。ここでのポイントは、Stemmingという機能を使って、語幹を取り出しています。これをしないと、語形変化の影響で結果が更に複雑なものになってしまいます。

対象の約300件から抽出した、名詞の頻度解析は以下のとおりです。当然ながら、検索式に含まれるTolet, Kitchen, Bathは、ストップワードに登録し、非表示にしています。水、人、空間、シート、健康、などのワードがあります。

重要な切り口を抽出する

もう少し詳しく見てみます。対象データを、トイレ、キッチン、お風呂に分類し、各分類ごとに、ワードのつながり(共起ネットワーク)をつくってみました。まず、トイレについて見てみましょう。

ワードのつながりを可視化して後、クラスタリング処理をしています。ここで、多様なワードとつながっているほど、大きな丸で示されています。つまり、多くのワードの交差点になっているワードが目立つように処理されます。これは、頻度解析では見ることができません。(ちなみに、珍しい発見をしたい場合は、この逆の処理をします)

さて、右上の大きなクラスタは、「便座」まわりのワード群です。このように見ていくと、トイレについては、便座、利用者、水(タンク)、照明、サイズ(家族構成)、姿勢位置、・・・等が、デザインのファクターになっているようです。

同様に、キッチンについてはこちらです。「アプライアンス」と「シンク」の「組み合わせ」が、筆頭にきています。

同様に、お風呂についてはこちらです。デザインと言えども、「温度」が切り口の上位にいるようです。

このように、個々のデザインについては専門家に任せるにしても、複数の情報をまとめ、俯瞰して見ることによって、次世代の製品デザインやコンセプトづくりのヒント(切り口)が得られそうです。とくに、B2C製品のマーケティング担当者や企画担当者のアイデア出し等に、お使いいただければ幸いです。

今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ