美容とITを融合した「ビューティーテック」が注目されています。先日、3社の事例が記事になっていました。
ビューティテック事例3選 ~ロレアル、Amazon、資生堂
実は、まだインターネットがはじまる以前、昭和の時代にも、例えば肌を診断して、その結果にもとづいて化粧品を提案する、といった取り組みははじまっていたようです。興味のある方は、youtubeで万博映像などを検索してみてください。
万博から数十年経ったいま、はたして「美」というテーマに、テクノロジーは馴染むのでしょうか? 市場は広がるのでしょうか?そこで今回は、化粧品大手が、ビューティーテックにどの程度本腰を入れているのかについて、分析してみました。
ビューティーテックとは?その市場は?
今回、L’OREALとP&Gを分析したところ、何らかのITデバイスを、一定のリソースをかけて開発していることがわかりました。L’OREALについては、大手家電メーカーとの連携も深めており、このテーマに、ある程度本腰を入れて開発に取り組んでいるように見えます。
内容を見ると、パーソナルケア、もっと言うとIoT的な意味合いが濃く、一人ひとりのニーズにきめ細かく対応する、市場としては、既存顧客の囲い込み、あるいはリピートを狙っているように見えます。
化粧品大手L’OREALの動き
まずは過去約20年における、技術文献の数の推移を見てみます。ここ数年に上昇しているテーマとして、毛髪関連と、何らかのデバイスがあげられます。
直近3年に限定し、もう少し詳しくみてみます。開発者の繋がりを可視化したものです。毛髪に関するグループが主流である一方、ワイヤレスのパーソナルケアデバイスに関するグループが一定規模で確認できます。四角で囲ったグループです。
どのようなデバイスかというと、例えばこのようなものです。スマートフォンなどのクライアントから、ワイヤレスで条件を受け取って、制御されるデバイスということです。
こちらは、L’OREALと共同開発している企業等をランキングしたものです。近年共同開発が増えている企業として、フランスに本社を置く家電メーカーGroup SEBが見られます。近年、家電メーカーとの連携を深め、このテーマに取り組んでいることが分かります。
参考に、P&Gについても調べてみました(純粋な化粧品メーカーというわけではありませんが)。やはり一定規模で、IoTデバイス?の開発に取り組んでいるようです。内容を見ると、ディフューザーのようなデバイスです。左隣のグループで、比較的大規模にフレグランスの開発が行われており、P&Gでは「香り」が重要なテーマのひとつになっているようです。
新規参入Amazonの驚異
冒頭のビューティーテックの記事にもあるとおり、この分野にAmazonが参入してきました。Amazonは、購買履歴のビッグデータを活用して、最も一般的なニーズに応えていこうというコンセプトです。つまり、ボリュームゾーンを根こそぎ取りに行くという戦略です。ITを、パーソナルケアやカスタマイズに利用する、他の化粧品大手とは真逆の戦略です。
今後、販売チャネルがネット通販に置き換わり、Amazonのような顧客接点において有利なネット企業がボリュームゾーンを取りに来たとき、従来モデルの化粧品大手は対抗できるのでしょうか?ボリュームゾーンを捨て、パーソナルへシフトしたとして、現在の売上を維持できるのか。美容分野におけるITの取り入れ方について、もう一度考える必要があるかもしれません。
今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。Quark Appsは、情報の自動収集、前処理、ビジュアル化、機械学習(AI)をExcelから操作できるようにした、Quarkオリジナルのパッケージです。