誰も知らない企業動向・業界動向の調べ方

例えば新規参入を検討する際、とくにB2Bのビジネスをされている企業の担当者なら、顧客や競合を含む業界の動向を詳しく知りたいと思うでしょう。

調べる方法は様々ですが、どれも一般的な情報ばかりで、生々しさに欠けると感じたことはありませんか。業界に精通したコンサルタントに依頼するという方法もありますが、時間もコストもかかる上に、クォリティの保証もありません。

そこで今回は、企業動向あるいは業界動向について、一般に公開された情報を使いつつも、誰もが知り得ない情報の調べ方について考えてみたいと思います。

誰も知らない企業動向・業界動向の調べ方

企業が公開している情報(例えば論文やパテント情報)から、人の動きを抽出し、その動きから動向を探ります。

企業が公開する情報は、当然ながら細心の注意をしています。核心に触れなかったり、オブラートに包んだりするわけです。また、宣伝を狙ったり、他社を牽制したりといった、戦略的な目的で出された情報も混ざっています。ここでは詳しく述べませんが、実は、企業が公開する論文やパテントの半分以上が、そのような情報だと思ってよいと思います。

したがって、このような情報を精緻に分析しても、半分以上の確率でデタラメの可能性があるわけです。ただし、企業が隠しきれない情報もあります。それは、「人の動き」です。公開情報に記載されている人(発明者あるいは研究者)の情報は、隠蔽するのは難しいでしょう。なぜなら、それが成果となって、人事評価と少なからず結びついているからです。

企業の公開情報に対し、人の切り口でひと工夫の処理をします。すると、

  • どのようなテーマに何人が取り組んでいるか、
  • それぞれの中心人物は誰か、
  • 時間の経過とともにどのように変化したか、

・・といった情報が明らかになります。これは抽象的な情報ではなくて、特定企業の個人名を伴った、極めて具体的な情報です。

確かに、そこまで細かく分析する必要があるのか?というご意見もあるでしょう。しかし、不特定多数に販売されるであろう調査レポートや、誰もがアクセスできるWeb情報を集めても、差はつかないでしょう。やはり、信頼に足る、独自の情報を持つことで、他社を出し抜くことができるのではないでしょうか。

X社内部の人の動きを分析してみる

例として、スキンケア分野におけるX社の動向を見てみましょう。過去約10年の情報から、人のネットワーク図を出力したものです。データをクラスタリングすると、それぞれがテーマを持った開発グループになっていることがわかります。第1グループ(洗浄組成物)だけを取り出してみましょう。

X社過去10年の人物ネットワーク

こちらは、第1グループを取り出して、再度クラスタリングした図です。武内氏を中心に、いくつかのグループがつながっています。一方、尾沢氏が中心のグループは、武内氏のグループとはやや遠い(テーマが異なる)グループの様です。

X社の第1グループの人物ネットワーク(再クラスタリング)

元データを確認してもよいのですが、ここでは、もう少しネットワーク図を掘り下げてみましょう。こちらは、2010年~2012年のデータだけで出力した図です。武田氏のグループは確認できますが、尾沢氏のグループは見当たりません。

X社の2010年〜2012年の人物ネットワーク

一方こちらは、直近3年(2016年~2018年)のデータで出力した図です。武内氏と尾沢氏が異なるグループを形成しています。つまり、尾沢氏のグループは、最近になって立ち上がったグループに見えます。元データを確認すると、武内氏のテーマは、きめ細かい泡やすすぎなど、洗浄の基本的なテーマであるのに対し、尾沢氏のテーマは、角栓除去に絞られた開発のようです。

X社の2016年〜2018年の人物ネットワーク

マクロ情報との関連性を検討する

ここで、以前の記事「外部環境分析を素早く効率的に行う方法」をレビューしてみます。スキンケアの未来を示すドライビングフォースとして、いくつかの切り口を提示しています。その中に、「男性」という切り口がありますが、これは、X社の直近の動き「角栓除去」と関連しているかもしれません。

このように、点と線を結びながら、企業動向や業界動向の輪郭を明らかにしていきます。複数の情報ソースを関連付けて、仮説の裏をとっていくイメージです。こうして独自に積み上げた業界に対する認識は、独自の戦略を伴って、あなたの新規事業を強力にサポートすると期待します。

今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ