今後の自動車業界における技術革新は誰が担うのか?

自動車業界で起こりつつある変化に、あらゆる業界から注目が集まっています。その変化は、技術革新によるところが大きく、世界中で進められている技術開発の動向は、自社の戦略を立てる上で重要な判断材料となるでしょう。そこで今回は、2019年の1年間に報告された、自動車関連の電気通信技術を簡易分析してみました。今年の締めくくりとして、ご紹介いたします。

今後の自動車業界における技術革新は誰が担うのか?

IEEEの文献検索サイトIEEE Exploreから、今年1年分の自動車関連技術約2,000件を抽出し分析しました。

IEEE Xploreの検索画面

文献の所属機関を集計すると、1/4が中国の組織であり、とくに大学が多くみられました。一方、日本の組織は58件、さらにトヨタ、ホンダ、日産を合わせても8件しかありませんでした。所属機関のランキングは以下のとおりです。

所属機関ランキング

動向はコントローラー、軌道計画、モデリング

動向を探るために、要約部分についてトピック抽出を行いました。トピック数を強制的に16とし、各トピックのキーワードを出したものが以下です。キーワードは1トピックにつき8個を指定しています。トピック抽出について、詳しくはこちらをご参照下さい。研究課題としては、コントローラー、安全性テスト、燃料コントロール、バッテリー、ネットワークセキュリティ、熱耐性材料、パッケージ信頼性、工場生産性、軌道計画、モデリング、レーダー、等の切り口に分類できることが分かります。

トピック抽出の結果(各トピックの説明)

さらに、所属機関とトピックをクロス集計すると以下のようになります。前述のとおり、中国の大学が主な顔ぶれですが、トピックとしては1、7、8、つまりコントローラー開発、自律車両の軌道計画、モデリング・アルゴリズム開発、ということになります。

所属機関 vs トピック

開発連携は中国の大学が中心

所属機関どうしのつながりも見てみました。全体として800以上のグループが出力されましたが、複雑なので、上位5グループだけを表示したものが以下です。どのグループも中国の大学が中心的な存在になっています。そのまわりに、研究機関や企業がつながって、グループを形成しています。例えば、右上のグループ内の、赤く選択した組織は中国のJilin Universityです。

組織間の連携図

さらに、Jilin Universityの研究者のつながりも見てみましょう。いくつかの研究グループに分かれますが、中央グループ内の、赤く選択した人物(H. Chen氏)が中心となって研究開発がされているようです。

Jilin Univ.の研究者のつながり

このように、中国では、少なくとも自動車の開発においては、大学が重要な役目を担っているようです。日本におけるイノベーションのプロセスとは、かなり違って見えます。100年に一度の大変革をむかえる自動車開発、今回の分析結果は、どのような未来を指し示しているのでしょうか。

それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。2020年も引き続き、クォーク株式会社をよろしくお願いいたします。

今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。お問い合わせ