複数の文書ファイルをPDFに一括変換【RPA活用事例】

DXの一環として、過去の様々なオフィス文書を、何らかの形で整理しなければならない場面があるでしょう。その際、WordやExcel、Power point・・といった異なる形式のままでは、整理しにくい場合があります。PDFなどに統一されていれば、検索したり、情報を取り出したり、タグを付けるなどの操作がかなり楽になります。オフィス文書を一括してPDFにする方法はいくつかありますが、今回は、他のケースでも応用できるよう、RPAを活用してみます。具体的には、無料のRPAツールであるPower Automateを使って、複数のPower pointファイルを一括してPDFに変換する方法について解説します。

Power Automateの準備

Power Automateはこちらから無料でダウンロードできます。ページ下の「デスクトップ向け Power Automate を無料でダウンロードする」をクリックしてください。Power Automateは、子供用のプログラミングツールであるScratchのような感覚で、簡単にワークフローを作ることができます。左のメニューから処理を見つけて、中央にドラッグ&ドロップして行きます。基本的な解説は省きますが、以下の解説を読めば、何となくお分かりいただけるかと思います。

PDF一括変換のワークフロー

まずはワークフローの全体像です。たったの9行です。この例では、あるフォルダにPower pointファイルが複数あり、これらを全てPDFに変換するといったケースです。このワークフローを実行すると(左上の再生ボタン)、フォルダ内にあるファイルを1つ1つ開いて、PDFに変換し同じフォルダへ保存してくれます。

詳しく見てみましょう。1行目「フォルダ内のファイルを取得」のアクションの中身です。フォルダのパスを入力します。これにより、フォルダ内のファイル情報がFilesに格納されます。

次に2行目「For each」です。For eachからendの間にある処理が繰り返されるという命令です(endは自動的に配置されます)。中身を見てみましょう。反復処理を行う値に%Files%と入力します。フォルダ内のファイルの数だけ繰り返し処理されます。ここで処理されるファイルをCurrentItemとします。

3行目「アプリケーションの実行」です。アプリケーションパスに%CurrentItem%と入力します。フォルダ内の1つのファイルが開きます。今回はPower pointファイルですが、Wordファイルでも、Excelファイルでも同じように開きます。

4行目「Wait」です。Power pointが起動する時間を考慮して10秒に設定しています。このWaitが無いと、起動する前に次の処理に入ってしまうため、誤動作の原因になります。6行目のWaitも同様です。PDF変換に要する時間として10秒に設定しています。ファイルサイズを考慮して、予めWait時間を想定しておいてください。ここはややアナログですが、他のプログラミングには無い、RPA独特の配慮です。とても重要です。

5行目「キーの送信」です。{Alt}()FEPAは、Altキーを押したあとF→E→P→Aと押すことを意味します。実際にPower pointで操作してみて下さい。PDFへエクスポートします。{Alt}{(S)}は、PDFファイルの保存です。

7行目は、PDFを終了し、Power pointファイルを閉じるというキー操作です。そして、また次のファイルで上記と同じ処理がされます。ファイルの数だけ繰り返されます。

9行目は無くてもよいのですが、全ての処理が終わったことの合図として、Power pointを終了するキー操作をしています。

Power Automate衝撃の簡単さ

実はPDFへの一括変換は、Adobe Acrobatを使ったり、VBAを組むなどの方法があります。しかしながら、Acrobatは有料ですし、VBAは専門性が要求され、あまり手軽ではありません。何らかの理由があって一括変換したいのであって、一括変換そのものが目的ではないはずです。したがって、そこにお金やリソースは割きたくないでしょう。このPower Automateは、衝撃の簡単さです。しかも無料。RPAが一気に身近になりました。どうでもよい単純作業は、現場レベルで自動化し、本来割くべき目的にリソースを集中する、これもDXのひとつかもしれません。

弊社の情報ツールQuark Appsは、今回作成したような複数のPDFから、連続的に情報を取り出し、リスト化し、タグを付け、可視化したり、機械学習で予測・分類するなどの処理が可能です。使い慣れたExcelから操作でき、蓄積された情報資産の活用を強力に支援します。全国からのお問い合わせをお待ちしております。