「DXのために・・が実践した“具体的な”体制づくりと取り組み」の記事を読んで、実際に開発体制がどう変わったのか、検証してみました。
客観的にも分かる変貌ぶり
上記記事によると、この記事が書かれた3年ほど前から、DXに取り組んできたとあります。したがって、2016年を境に、開発体制の違いを見てみました。開発体制については、その年に出された技術文献から開発者情報を取り出し、データ処理によって開発者どうしのつながりを可視化して分析します。
これによれば、K社のDX後の開発体制は、DX前の開発体制に比べ、明らかに選択と集中がきいていて、さらにコア技術周辺でのグループ間連携もできているように見えます。それでは、具体的にデータを見ていきましょう。
K社開発体制の変化
2016年の技術情報から、K社の開発体制を可視化したものがこちらです。左上の最大グループは、運動機能を向上する機能性食品のグループです。肌質の評価方法のグループや、トナー製造方法のグループも見られます。多様な日用品に関わる技術開発が行われており、また、各グループは、あまり連携しているようには見えません。
一方こちらは、2019年以降の技術情報から、K社の開発体制を可視化したものです。左上の最大グループは、ナノファイバシートに関するグループであり、他のグループに対して多くのリソースを投入しています。2016年と比較して、選択と集中がきいています。これは、冒頭の記事でも取り上げられていた、人工皮膚「Fine Fiber」に関するものと思われます。その下のグループでは、セルロース繊維の製造といった、同じ繊維に関する技術であるが用途が異なる(工業製品?)材料開発も行われています。
技術情報に、繊維や肌といったタグを付けて集計してみました。K社では、肌や繊維の開発は古くから行われていたようです。ただし、繊維の開発は、2017年以降増えているように見えます。ファイバも全体として少ないですが、増加傾向です(繊維とファイバの区別は不明)。肌と繊維の交差点にある技術開発も一定の規模があり、一貫して同社の開発テーマだったことが伺えます。
もう一度、2019年以降の開発体制に戻ってみましょう。グループのレイアウトを変更して、グループ間の連携を見てみます。最大であるナノファイバシートのグループを中心に、他のグループが多くつながっています。ナノファイバシートに関する技術を、他の用途へ展開するためか、あるいは、他の用途からナノファイバシートに転用しているのか、詳細は詳しく見ていく必要がありますが、少なくとも、2016年とは違い、グループ間が密接に連携しています。K社が本格的にDXに着手したタイミングで、開発体制が大きく変わっています。DXによって、肌と繊維の交差点という技術シーズと、市場ニーズが結びついた瞬間かもしれません。
膨大な社内データの活用がカギ
いかがでしたでしょうか。従来なら、対面での営業活動、展示会への出展、海外拠点への派遣など、世の中の動きを捉える様々な情報活動が可能でした。ところがパンデミックの影響により、活動は大きく制限され、新しい情報の入手が難しくなっています。この状況が長期化することを想定し、情報活動の根本からの見直しが必要ではないでしょうか。既にある情報の最大活用です。
例えば、ニュース、Web、SNS、論文などの世界中のソース、あるいは営業議事録、報告書、アンケートなどの内部情報、既にある情報は多様かつ膨大です。このような膨大な非定型情報を処理し、活用するための技術とノウハウこそがDXのカギであり、強い会社への第一歩だと思うのです。
今回の分析は、弊社の情報ツール「Quark Apps」を使っています。Quark Appsは、データ収集RPA、非定型データのタグ付、情報の可視化、機械学習など、社内データの活用に有効な機能がパックになっています。使い慣れたExcelから操作でき、クラウドを使わないため、情報漏えいの心配もありません。全国からのお問い合わせ、お待ちしております。