戦略的意思決定を支援するインフルエンスダイアグラムとは

経営戦略、研究開発戦略、戦略的な意思決定するためには、今後、自社を取り巻く環境がどうなってしまうのかについて、できるだけリアルにイメージしたいと思うでしょう。今回は、将来の不確実性を明らかにし、戦略的な意思決定をサポートする手法についてご紹介します。

インフルエンスダイアグラムとは

自社を取り巻く環境がどうなってしまうのか、つまり未来シナリオを描く最初のステップとして、インフルエンスダイアグラムを使います。

未来シナリオを描く場合、未来を決定づける不確定要因を2つ程度に絞り込み、それらが右か左かへ分岐することを想定し、合計4つのシナリオをつくっていきます。不確定要因を2つに絞り込むには、考えられる不確定要因をすべて洗い出し、それらの関連性を明らかにする必要があります。これによって、最も不確実性が高く、かつ自社にとって影響の大きいものは何かを議論し、最終的に2つに絞り込むことが可能となります。

これらの作業はできるだけ、立場の違う複数のメンバーで行うことをおすすめしています。視界にない不確定要因やそのつながりを見落とさないためです。これには、全員が一度に共有できる視覚化された情報が絶大な効果を発揮します。それがインフルエンスダイアグラムというわけです。

ロボティクスの未来シナリオ

例えばロボット関連製品を扱う企業が、事業戦略の意思決定をする場合を考えてみましょう。例として、「今後手術用ロボットダビンチは拡大するのか?」を課題設定としましょう。まずは考えられる不確定要因を全て挙げていきます。関係者全員参加で、行うのがポイントです。

次に、それぞれの不確定要因のつながり、関連性を出していきます。あまり深く考えず、わかりやすいものから、つないでいきましょう。

概ねつなぎ終わったら、全体を眺めながら、修正をしていきます。ここでは、メンバー全員が様々な意見を交わすべきです。さらに重要なものに(キーファクターに)、色をつけるなどします。

この例では、ダビンチの拡大にとって、採算性がキーファクターのひとつとなっています。採算性は診療報酬に影響され、さらにたどると「保険適用」が進むかどうかが、カギになりそうだと分かります。保険適用は医療制度や有効性のバランス、更にはその医療制度を担っている地域の経済状況や平均寿命まで関連し、不確定要素が大きいことがわかります。つまり、保険適用の進度が、ダビンチの未来を決定づける重要な不確定要因のひとつ、と考えられます。同様にもうひとつ、保険適用とは独立した不確定要因を特定すれば、4つの未来シナリオが描けるというわけです。

インフルエンスダイアグラムの自動生成

情報分析によって、インフルエンスダイアグラムを自動生成できたら画期的だと思います。そうなれば、意思決定の精度や効率は飛躍的に上がるでしょう。ただ、今のところ非常に難しいと考えています。なぜなら、自動生成するためには、全ての要因を何らかのかたちで数値化する必要があります。5Gの実用化とIoTでそんな世の中が来たらいいですね。

今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ