市場予測は当たるのか?

日々、多くの調査会社から、市場予測などのレポートが発信されています。新規事業、新製品の開発、M&Aなどの計画を立てる際、対象とする市場について、できるだけ多くの情報をもとに意思決定をしたいと思うでしょう。でもちょっと待ってください。本当にその予測を信じてよいのでしょうか? 今回は、これから立ち上がるかもしれない、眼鏡型のウェアラブルデバイス「スマートグラス」を例に、考えてみたいと思います。

実際の調査会社の予測

スマートグラスを選んだのには理由があります。市場が本格的に立ち上がっておらず、不確実性が高いからです。不確実性が高いから予測するのであって、不確実性の低いものを予測しても何の価値もありません。

さて、各調査会社がどのように予測しているか見てみましょう。以下は、日系・外資系含む6社の、2016年時点の予測を表にまとめたものです。スマートグラスの2020年の出荷台数予測だけを抜き出しています。念のため、会社名にはモザイクをかけさせていただきました。一番少ない予測は540万台、多い予測は7800万台、実に1桁の違いがあります。なぜこんなことになるのでしょうか?

各調査会社のスマートグラス出荷台数予測(2020年)

ばらつきの原因

1番目の会社は、業務用が先行し、コストダウンにより個人向けが拡大すると予測しています。逆に2番目や3番目の会社は、ポストスマホとしてスマートウォッチが普及し、スマートグラスに有力な製品は登場しないと見ています。4番目と6番目の会社は、統計にVRを含んでおり、そのせいで台数が多めに出ているようです。

これらを総合すると、ばらつきの原因は以下の3つです。

1.スマートグラスをどう定義するか?
例えば、AR/VR、単眼式/両眼式、これらの組み合わせで4パターンが考えられます。これをきっちり定義して考える必要があります。

2.他のウェアラブル端末との関係をどうみるか?
スマートフォン、スマートウォッチ等、他のウェアラブルデバイスと無関係ではないはずです。

3.コンシューマー向け(個人向け)をどう読むか?
個人向けに拡大するには、どのような条件が必要か? なぜGoogle Glassは失速したのか?

何を信じるべきか?

これだけばらつきが大きいと、何を信じて事業計画を立てるべきか困ってしまうことでしょう。だからと言って、多くの複雑なパラメータを駆使して、独自の予測を立てるというのも、現実的ではありません。では、このような調査結果の何を参考にすべきか。それは、「どこに不確実性があるか?」という点です。予測値はあてになりませんが、不確実性の切り口については十分参考になります。上の例で言えば、例えば、スマートウォッチとの関係がどう変化するか、あるいは、個人向けに拡大するのかどうか。予測値ではなく、不確実性に焦点を当てるということです。

では、個人向けに拡大するかどうかを決める、背後にある要因は何でしょうか? もっと軽く、もっと長時間、といった「技術開発の達成度」かもしれません。あるいは、街なかで装着する違和感とか、プライバシーといった、「社会的な問題」かもしれません。

このように、不確実性を真正面から捉え、その背後にある要因を突き止め、これを軸に未来を複眼的に見ることが重要です。スマートグラスのシナリオプランニング。続きはまたの機会に。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ