情報分析で大切な3つのこと

情報分析のお話をすると、きっとすごい「答え」が出てくるだろう、と誤解されることがあります。こういう仕事をしていて身も蓋もありませんが、情報分析はその「答え」を得るための方向付けでしかありません。

では、方向付けする上で大切なことは何でしょう。
結論から言うと、目的、解釈、実行、の3つになります。順に説明していきましょう。

何のための情報分析か?

情報分析それ自体が目的化してしまっている場合があります。手の込んだグラフを見せられて、「だから何?」「それで?」と感じたことはありませんか?情報分析の前に、「解決すべき課題」は何か?について、今一度、掘り下げておきましょう。

「解決すべき課題」が最もよく見えているのは、課題を持っている当事者です。理想的には、その当事者が情報分析を行うことですが、そうはいかないなら、よくコミュニケーションをとって課題を共有する必要があります。

課題によっては、情報ソースも変わってきます。製造業では、特許や論文に頼ることが多いですが、情報ソースとして万能ではありません。業界トレンドを見るにはどのようなソースがいいのか?、手にとったお客様の感想を知るのに最適なソースは?、ニュース記事やツイートなども対象になってきます。

結果をどう解釈するか?

どのような情報分析するにしても、その結果をどう解釈するかは人の作業です。肯定的に見るか、否定的に見るか、鵜呑みにするか、深読みするか、いずれにしても人が解釈しなければいけません。なぜなら、その結果を受けて行動に移すのは人だからです。

例えばこれは、「スマートハウス」に関する最近のニュース記事から抽出したワードです。スマートハウスのトレンドを知りたいわけですが、中心にAmazonがいて、家電があって、デバイスときて、やはりIoT、とくに音声コントロールがトレンドか?とも読めます。しかしながら、もしかすると、ウィルス、セキュリティなどのワードから、その先のネットワーク化された住宅のセキュリティが今後のトレントとも読めます。

一方こちらは、5年前の記事から抽出したワードです。この当時のスマートハウスは、明らかに、その中心にエネルギーがありました。エネルギーから、音声コントロールやセキュリティへとトレンドが変化したわけですが、5年前当時に、エネルギーの視点だけで戦略をつくっていたら、現在のトレンドには対応できなかったかもしれません。

解釈を実行に移すには?

答えに近づくには、行動が必要です。そのために、新規事業創出なら「誰」に任せるのか、新規開拓なら「どこ(企業)」へアプローチするのか、オープンイノベーションなら「どこ(企業)」とやれそうか、情報分析のやり方として、具体的な企業や人を切り口にしていくのが効果的と考えます。

例えば、住宅のセキュリティについて、どのような機器が要となるか?、そのメーカーは?、その分野での企業連携はどうなっているか?、その連携に競合は先手を打っているか?、この件に知見のある社内の人物は誰か?、といった具合です。

これは、今回のニュース記事に登場した企業名です。文字の大きさは登場した頻度をあらわしています。Amazon、Googleといったスマートスピーカーのメーカーが目立ちます。

さらに、これら企業のつながりを見てみます。ノイズも含まれていますが、例えば、Microsoftとパナソニックや東急が連携していたり、大和ハウスがGoogle Homeを利用したりといったつながりが見えてきます。こうした中、自社はどのようなポジションを取ればよいでしょうか?

情報分析で答えを探し求めて浪費するよりも、誰、どこ(企業)を明確にして実行に移すことのほうが、よほど効率的と言えないでしょうか。

今回の分析は、情報分析ツール「Quark Apps」を使っています。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。丁寧にご説明させていただきます。お問い合わせ